申し込みは契約ではない
ここで、「まあいいか。そんなに間違ったことはしないだろう」と何も考えずに判を押したら、失敗の芽が生まれます。これは、自分と家族の未来を託す不動産の契約です。繰り返しますが、不動産取引について真剣に勉強すること、そして契約時に渡される書類はすべて事前に取り寄せ、しつこいくらいに事前確認をすることが大切です。この手の話は、よく耳にします。そのたびに、「まだこういうやり方が罷り通ると思っている業者がいるのか」とうんざりします。結論から申し上げます。申し込みはキャンセルできます。あなた方にペナルティーは一切ありません。無条件でキャンセルできます。契約書に記名・押印してしまったら、もちろん簡単にキャンセルできませんが、「申し込み」というのは契約前の予約に過ぎないのです。お二人とも、この申し込みの段階なのですから、自由にキャンセルできます。ましてや、I子さんの場合は「とりあえず物件を止めておくために」との業者のすすめで申し込んだので、「買わない」という意思表示をすればそれで終わりです。意思表示の手段としても特に書面など必要なく、「買いません」と口頭で言えばそれで済みます。これは、「買い手が無知だったら、あわよくばつけこもう」と業者が思っているだけです。その業者の本性がわかったので、それはそれで一ついい勉強をしたのかもしれません。「申し込み」というのは契約前の予約に過ぎません。法的な拘束力が発生するのは契約をしてからです。キャンセル料など支払う必要はありませんし、F美さんが業者に渡した10万円も返してもらえます。もしも業者がいろいろな理由をつけて「返さない」と言ったのなら、その業者が違法行為を働いていることになります。
